国家総合職の教養区分が年2回に!制度変更のポイント解説

本日は、国家公務員総合職の試験の変更についてお話ししたいと思います。
目次
国家総合職試験の変更点その1
「教養試験」が新たに春と秋の2回実施されることになりました。
これまで秋のみの実施だったのが、年2回になります。
簡単に説明すると、「教養区分」には専門試験がありません。数的処理などの基礎能力試験、そして政策の企画・立案に関する論文試験が一次試験にあたります。二次試験では企画提案試験(プレゼンテーション形式)、政策課題討議試験(グループディスカッション形式)、さらに人物試験(面接)が行われます。
この教養区分の受験者数ですが、2012年には1,134人だったのに対し、2024年度は4,734人と、大幅に増加しています。合格者数も増えており、こうした背景を受けて試験制度の変更がなされたと考えてよいでしょう。
国家総合職では、離職者も多く、応募人数も少なくなってきています。そうした現状に対し、人事院側も強い危機感を持っていることがうかがえます。
国家総合職試験の変更点その2
次にポイントとして注目すべきなのは、「19歳から受験が可能であること」、そして「合格後、名簿が7年間有効であること」です。
つまり、大学現役で進学した場合、2年生の春・秋、3年生の春、4年生の春…と、最大で6回のチャンスがあります。
浪人している場合には1年生から受験可能になるため、最大で8回、あるいはそれ以上のチャンスがあるということになります。
試験実施地も9か所に増加し、採用試験の一部免除もあるとのことです。ですから、1〜2年生など、頭が柔軟なうちに受験しつつ、民間企業への就職活動も併行するというのも、一つの戦略だと思います。何かあった際には、合格後7年間有効な名簿を活用して国家公務員を目指すという道も残されています。
こうした状況下で受験者数は増えると思いますが、一方で人数調整は難しくなるでしょう。若くして合格したからといってすぐに採用、というわけにはいかない部分もあると思います。ただし、今回の制度変更によって、人気は間違いなく上がるでしょう。
国家公務員の給与について
とはいえ、「最終的に進路として国家公務員を選ぶかどうか」は、学生一人ひとりの判断に委ねられます。
ある方(東大卒)の初任給が3桁(=100万円以上)を超えたという話を聞いたことがあります。つまり、民間で本当に優秀な人材を集めるような企業は、それくらいの初任給を提示するのです。
それに比べると、公務員の給与はやはり見劣りします。もちろん、国民の税金を使う以上、あまり高額な給与にすると批判もあるでしょうが、それでも「国のかじ取りを担う人材」には、ある程度の報酬を用意するべきではないかと私は感じます。
専門区分がねらい目か
本気で国家総合職を目指す層については、前から私もお話ししていましたが、「教養区分の人気が高まったことで、専門区分の人気が相対的に下がってきている」という実感があります。実際、専門区分でかなり簡単に合格している受験生も見かけます。
ですので、戦略的に「秋に教養区分、春に一般区分」というように、複数回の受験を組み合わせて狙うというのも、ありだと思います。
若いうちから本気で目指すのであれば、1〜2年生のうちに国家総合職に合格する、というのも夢ではありません。浪人した場合には、8回どころか10回近く受けられる可能性もあります。非常に受けやすい試験制度になったと言えるでしょう。
ただし、個人的な感覚としては、やはり最初の1〜2回が勝負なのではないかという印象があります。長期戦になると、かえって受かりにくくなる傾向もあるように思います。
このあたりについては、今後、受験生の動向や傾向を分析しながら、またお話ししていきたいと思います。とにかく今回は「受験のチャンスが広がった」ということを、しっかりと認識していただければと思います。
試験制度は変わってきている!
なお、今年もそうでしたが、「試験日程の早期化」や「SPI化」、そして「共用試験化」はどんどん進行しており、試験制度が急速に変化しています。その結果、ペーパーテストのウェイトは下がりつつあり、プレゼンテーションやグループディスカッションなどの面接要素が重視される傾向にあります。
現時点で今年のデータ分析は終わっていませんが、昨年がその転換点だったような印象もあります。
ですので、制度変更に柔軟に対応し、しっかりと情報収集を行うことが、合格への鍵となります。
中には、あまり対策をしていなくても「なんとなく受かってしまった」という受験生もいます。ですから、準備の有無にかかわらず、まずは情報に敏感でいることが大切です。
まとめ
今回の変更によって受験チャンスは大幅に広がりました。
これまで国家総合職を目指すハードルが高いと感じていた人にも、門戸が広がったと言えます。
近年、試験制度が変わってきているので、公式のホームページなどで、こまめにチェックしておきましょう!
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