2025.11.16
公務員試験

教養区分が25%増!専門試験離れが加速する理由とは?

国家公務員総合職試験のうち、「共通区分(教養区分)」の申込者が過去最多を記録しました。
ここでは、最新データをもとに人気の背景と今後の動きを整理します。

■ 申込者数が過去最高に 前年比125%の伸び

2025年度の教養区分申込者は 5,914人
前年(4,734人)から 1,180人増(前年比125%) と大幅に増え、過去最高を更新しました。

急増の要因としては、

 ・受験年齢の引き下げで若年層の参入が進んだこと

 ・専門試験よりも手軽な「教養中心型」への関心の高まり

が挙げられます。

ここ数年、国家公務員試験では「教養区分」人気が明らかに上昇しています。
一方で、専門試験を含む従来型の職種では減少が続いており、構造的な変化が見え始めています。

■ 総合職全体は横ばい、教養区分だけが伸びる

国家総合職全体の受験者数は、過去20年ほどほとんど変化がありません。
ただし内訳をみると、受験者が専門職から教養区分へと移っているのが分かります。

年度 総合職全体 教養区分 専門職区分
2002年 約18,295人 約2,900人 約15,400人
2023年 約18,300人 約4,000人 約14,300人
2024年 約18,300人 約4,700人 約13,500人
2025年 約17,900人 約5,900人 約12,000人

総合職全体の数字はほぼ横ばいですが、教養区分は年々増え続けています。
「専門知識よりも思考力で勝負できるなら教養区分を選びたい」という受験者の意識が明確になってきました。

■ 教養区分・大学別合格者ランキング(2024年度)

2024年度の教養区分合格者を大学別に見ると、上位校の構図が浮かび上がります。

順位 大学名 合格者数
1位 東京大学 156人
2位 京都大学 59人
3位 早稲田大学 47人
4位 慶應義塾大学 37人
5位 一橋大学 22人
6位 大阪大学 14人
7位 東北大学 17人
8位 北海道大学 12人
9位 中央大学 12人
10位 筑波大学 7人

このほか、岡山大学・名古屋大学・九州大学が各6人、明治・千葉・神戸大学が各5人で続きます。
なかでも東京大学は、突出した合格者数を維持しています。
教養区分では英語・論文・企画提案型試験など、思考力や表現力を問う内容が多く、東大生にとっては得意分野といえるでしょう。

■ 教養区分とは?専門試験との違い

教養区分の特徴は、知識の暗記よりも「考える力」を問う点にあります。
試験内容には次のような形式が含まれます。

 ・資料を読み解き、論文としてまとめる

 ・英語の資料を用いた要約・意見記述

 ・企画提案書の作成や面接での発表

専門科目の勉強に多くの時間を割かずとも、総合的な発想力や構成力で評価される仕組みです。
「知識量よりも表現力で勝負したい」というタイプには魅力的な区分といえます。

■ 今後の傾向と受験戦略

現状、教養区分は国家公務員試験のなかでも最も競争率の高い区分です。
一方で、理系・技術系の専門区分では合格ラインが下がっており、狙い目ともいえます。

つまり今後は、
「難関の教養区分に挑むか、専門分野で確実に合格を狙うか」
という戦略の見極めがより重要になっていくでしょう。

■ 若い世代にも広がる公務員人気

近年は中高生の間でも、公務員が「なりたい職業」として再び注目を集めています。
中学生の将来希望ランキングでは、

 ・男子の1位が公務員

 ・女子の2位が公務員

という結果が出ています。
安定性や社会貢献性への評価が高く、若い世代の間で公務員志向が再び強まっているようです。

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