教養区分が25%増!専門試験離れが加速する理由とは?
国家公務員総合職試験のうち、「共通区分(教養区分)」の申込者が過去最多を記録しました。
ここでは、最新データをもとに人気の背景と今後の動きを整理します。
目次
■ 申込者数が過去最高に 前年比125%の伸び
2025年度の教養区分申込者は 5,914人。
前年(4,734人)から 1,180人増(前年比125%) と大幅に増え、過去最高を更新しました。
急増の要因としては、
・受験年齢の引き下げで若年層の参入が進んだこと
・専門試験よりも手軽な「教養中心型」への関心の高まり
が挙げられます。
ここ数年、国家公務員試験では「教養区分」人気が明らかに上昇しています。
一方で、専門試験を含む従来型の職種では減少が続いており、構造的な変化が見え始めています。
■ 総合職全体は横ばい、教養区分だけが伸びる
国家総合職全体の受験者数は、過去20年ほどほとんど変化がありません。
ただし内訳をみると、受験者が専門職から教養区分へと移っているのが分かります。
| 年度 | 総合職全体 | 教養区分 | 専門職区分 |
|---|---|---|---|
| 2002年 | 約18,295人 | 約2,900人 | 約15,400人 |
| 2023年 | 約18,300人 | 約4,000人 | 約14,300人 |
| 2024年 | 約18,300人 | 約4,700人 | 約13,500人 |
| 2025年 | 約17,900人 | 約5,900人 | 約12,000人 |
総合職全体の数字はほぼ横ばいですが、教養区分は年々増え続けています。
「専門知識よりも思考力で勝負できるなら教養区分を選びたい」という受験者の意識が明確になってきました。
■ 教養区分・大学別合格者ランキング(2024年度)
2024年度の教養区分合格者を大学別に見ると、上位校の構図が浮かび上がります。
| 順位 | 大学名 | 合格者数 |
|---|---|---|
| 1位 | 東京大学 | 156人 |
| 2位 | 京都大学 | 59人 |
| 3位 | 早稲田大学 | 47人 |
| 4位 | 慶應義塾大学 | 37人 |
| 5位 | 一橋大学 | 22人 |
| 6位 | 大阪大学 | 14人 |
| 7位 | 東北大学 | 17人 |
| 8位 | 北海道大学 | 12人 |
| 9位 | 中央大学 | 12人 |
| 10位 | 筑波大学 | 7人 |
このほか、岡山大学・名古屋大学・九州大学が各6人、明治・千葉・神戸大学が各5人で続きます。
なかでも東京大学は、突出した合格者数を維持しています。
教養区分では英語・論文・企画提案型試験など、思考力や表現力を問う内容が多く、東大生にとっては得意分野といえるでしょう。
■ 教養区分とは?専門試験との違い
教養区分の特徴は、知識の暗記よりも「考える力」を問う点にあります。
試験内容には次のような形式が含まれます。
・資料を読み解き、論文としてまとめる
・英語の資料を用いた要約・意見記述
・企画提案書の作成や面接での発表
専門科目の勉強に多くの時間を割かずとも、総合的な発想力や構成力で評価される仕組みです。
「知識量よりも表現力で勝負したい」というタイプには魅力的な区分といえます。
■ 今後の傾向と受験戦略
現状、教養区分は国家公務員試験のなかでも最も競争率の高い区分です。
一方で、理系・技術系の専門区分では合格ラインが下がっており、狙い目ともいえます。
つまり今後は、
「難関の教養区分に挑むか、専門分野で確実に合格を狙うか」
という戦略の見極めがより重要になっていくでしょう。
■ 若い世代にも広がる公務員人気
近年は中高生の間でも、公務員が「なりたい職業」として再び注目を集めています。
中学生の将来希望ランキングでは、
・男子の1位が公務員
・女子の2位が公務員
という結果が出ています。
安定性や社会貢献性への評価が高く、若い世代の間で公務員志向が再び強まっているようです。
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