2025.06.30
公務員試験

公務員のメンタル休職と復職支援の現状とは?実例とデータで解説

今回は人事院より発表された「心の健康の問題による長期病休者の職場復帰のための職員向け手引き、担当者向けマニュアル」ついてお話しします。

公務員のメンタル不調と復職支援

人にもよると思いますが、私も30年間この仕事をしてきた中で、やはり何人か、メンタルの問題で苦しんだ教え子がいました。
中でも一番印象に残っているのは、学生時代は明るく、少しお調子者なところもある元気な子が、就職後ある日突然、うつ状態のようなひどく落ち込んだ様子で相談をしにきた時です。

こちらが優しく接しても反応がなく、「無理に話さなくていいよ」と声をかけながら、なんとか会話の糸口を探るようにしていました。
「もう一度、別のところで公務員を受けてみる?」と聞くと、小さくうなずいたので、そこから試験の準備を始めました。
最終的には少しずつ元気を取り戻し、公務員試験の面接などを考えると、仕事を続けた方がよい状況ではあったのですが、本人の意思で「やめた方がいい」と判断し、退職に至ったという経緯があります。

メンタルヘルスの問題は増加傾向にある

メンタルヘルスの問題は、最近では本当によく耳にするようになりました。
特に教え子たちの話を聞いていると、「公務員の職場は人員補充がない」という声がよく聞かれます。休職するのは問題ないのですが、その分の人手が補充されないため、周囲の負担が非常に大きくなってしまうのです。

少し調べてみたところ、精神や行動の障害による長期病休者は増加傾向にあります。
たとえば、令和4年度のデータ(少し古いですが)によると、「公務員の健康状況調査」では、職員10万人あたりの長期病休者数が2,142人となっており、決して少なくない数字です。
そのうち、65.8%がメンタルヘルスに関するものであり、長期病休の過半数が心の問題によるものということになります。

認知の変化も関係か

以前であれば、精神的な問題を抱えていても、それが「病気」や「障害」とは認識されないことが多く、いわゆる発達障害の概念も今ほど一般的ではありませんでした。
近年になって、それらが明確に診断され、理解されるようになったことで、数字として表に出るようになったという背景もあるでしょう。

また、2022年の「労働安全衛生調査」によると、1か月以上の休業者がいた事業所の割合は10.6%にのぼります。
これは前年の8.8%から約2%の増加です。公務員のデータとは単純に比較できませんが、社会全体としても増加傾向にあると言えるでしょう。
年代別では、20代が最も多く、若い世代が特に影響を受けやすい傾向が見られます。

このような状況を受けて、「心の健康の問題による長期病休者の職場復帰のための職員向け手引き」や「担当者向けマニュアル」が作成されるまでになっているというのは、それだけ問題が深刻化している証拠だと思います。

私の教え子の中でも、ここ数年でこうした相談は確実に増えてきており、私自身もできる限りの助言を行うようにしています。

まとめ

メンタルヘルスの問題は避けて通れないものであり、職場としても、個人としても、しっかりとした対応が求められている時代になってきています。
今回のマニュアルのような取り組みを通じて、少しでも支援の質が向上することを期待したいところです。
今回はあまり公務員試験の直接的な内容ではありませんが、こうした情報も発表されましたので、ご紹介させていただきました。

興味のある方は、人事院のホームページや、厚生労働省のサイトなどをご覧いただくとよいでしょう(後者は公務員向けではありませんが、参考になるかと思います)。

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